ラブルースト先生の建築教室

将来の仕事に迷っている中学生や高校生に、「建築」という仕事はどう?と勧めるためのブログです。

(笑)こりゃいいや。

前川君「…先生、今日は、意味深な笑いから始まりましたね。」

 

いや、失敬。ちょっと思い出し笑いをしてしまった。ちょっとばかしツボってしまってね。まあ気にせず、授業を始めようじゃないか。今日は珍しく最初から真面目に行こうじゃないか。君たち、設計者たるもの、自分の住む家を、設計してみたい、と思ったことはないかね?

 

ライト君「もちろんです。自分の家は、自分が設計したものにしたいです!」

 

そうだよな。やっぱりそう思うだろう。でも、住宅というものは、あらゆる建物の中で、一番奥が深いものだと思うのだ。この日本だけでも、1億何千万という人がいて、その全てが、それぞれの家に対するある特定の趣向を持っているのだ。設計者は、自分の趣向で家をデザインするのではない。建て主の趣向を、可能な限り反映させていくことが、何よりも重要だ。

 

アアルト君「でも、やっぱり僕たちはプロになるわけだし、建て主は素人だし、ある程度僕たちが決めていかなきゃならないんじゃないですか?」

 

そうなのだ。難しいところは、建て主の希望を組み入れつつ、一つの建物としても、ちゃんと完成度の高いものを設計しなければならないことだ。だから、私たちは、出来るだけの知恵を駆使して、その両方の要素を結合させていかなければならない。そのためには、どのような希望にも応えられる、柔軟な知識が必要なのだ。

 

佐野君「うえ~、また先生の好きな、知識の話になりましたね。そんなに知識詰め込めませんよ。」

 

テストじゃないんだ。詰め込む、というのとはちょっと違うと思うぞ。まあ言ってみれば、自分の血肉とする、といった感じか。なるべく多くの建築に触れて、自分の中の引き出しをとにかく増やすことだ。時間はかかってもいいんだ。建築の仕事をする、というのは、そういうことだ。

 

ローエ君「でも、自分の家設計するんだったら、自分の好きなように設計できるんじゃないすか~?」

 

そうなのだ。自分の家の場合は、唯一、建て主としての希望と、設計者としての趣向が、一致する設計が出来るのだ。こんな経験は、設計者人生でほとんど一度切りなのだ。胸躍らないかね?

 

前川君「うーん、でも、それだけに、考え込みすぎちゃいそうで…。」

 

そうだな。だがな、君たちにはぜひ、それを実行してほしいのだ。何というか、これは、唯一失敗できる設計だと、言ってもいい。

 

ライト君「自分が建物の不自由さを享受すればいいんですもんね。」

 

そうだ。まあ、でもみんな、それは嫌だよな。もう一つ言えば、自分の為だから、いくらでも完成度を高めることが出来る、とも言える。とにかく、自分の家というものは、色んな実験ができる。君たちの、設計者としての質を、グンと高くしてくれるだろう。

 

佐野君「勉強せな、ってやつですわな。」

 

その通りだ。じゃあ、今日は宿題をどっちゃり出そうか。自分の家の為と思えば、いくらでも頑張れるだろう?

 

ブオナロッティ君「それとこれとは違います。」

 

 

…学級委員長、君も割と…。まあ君に言われちゃ、敵わない。でも君たちは、自分の力でやるんだろうと信じてるぞ。じゃあ、今日は、宿題なし!

 

ローエ君「よっしゃぁ~、ライト、放課後ゲーセン行こうぜ。」

 

 

 

…。

 

…。ローエ君、君にだけ宿題。「地域社会におけるゲームセンターの存在意義と、青少年に与える影響の善悪の考察」というレポートを、2万5千字で。ゲーセンが、君の建築に良い影響を与えることを祈るよ。(終わり)