ラブルースト先生の建築教室

将来の仕事に迷っている中学生や高校生に、「建築」という仕事はどう?と勧めるためのブログです。

ごほっ、ごほっ。

ゴリラじゃないよ。先生は風邪をひいてしまったのだ。もうだいぶ収まってはきておるがね。

 

さて、久しぶりの授業を開始しようじゃないか。どうも、あれだ。前回の授業で、君たちにさんざんダメ出しを喰らったおかげで、少し考え込んでしまったのだよ。専門的な事を話すと、どうにもこうにも君たちにとって、解りにくい内容になってしまう。だからと言って、フランクでカジュアルな授業にしてしまっても、少し物足りないだろう。

 

そこでだ。君たち自身に先生になってもらって、私は君たちの授業を聴く、という、逆転の発想による授業をしてみたらどうか、と思ったんだが、どうだろう?

 

佐野君「先生、そりゃいくらなんでも、職務怠慢というやつでっしゃろ。 わてら、先生に金払ってんのに、先生が授業をしないって、どうにもこうにも、アホちゃうか、っちゅう話やあらへんか。」

 

ぐっ。先生に向かって、アホとは。アホ……、ま、まあ…、確かに、一理あるかもだな。先生が、授業しないで、アホちゃいまっか、って話かもだな。う、うーむ。また振出しに戻ってしまったな。

 

カーン君「I don't mind anything.Please begin an ordinary lesson.」

 

むむっ、カーン君。君、母国語を喋りおったな。an ordinary lessonとな。普通が一番ということか。君、若いのに、なかなか悟っておるな。

 

うーむ、そうだな。普通の授業を、するとするか。…ではだな、私が、職人仕事の中でも、一際心を奪われる、「左官」について、少し話すとしようか。

 

「左官」とは、泥のようなものを、金鏝(かなごて)でならして、壁などを塗る職人のことだな。私がこの仕事に特に魅力を感じるのは、まあ言ってみれば、職人の技術が、ダイレクトに仕上げの質に影響してくるからだということだろうな。金鏝を通じて、自分の手の感覚を頼りに仕事を仕上げる。いかにも、職人らしい、職人技だと思わないかね?

 

一同「…。」

 

むっ?無反応?

 

ブオナロッティ君「先生、僕達はお見通しなんですよ。先生が、先生らしからぬ、知識の少なさだということを。先生が、左官に魅力を感じるなら、その話をしてもいいです。でもですね、先生は、そういうイメージだけで、具体的には全然「左官」のことを解ってないですよね?そういうのが見えてしまう授業っていうのは、案外苦痛なもんですよ。」

 

「な、何?私が何も解ってないとな?」

 

ブオナロッティ君「いや、先生を責めているわけではないんですよ。そういう授業なら、そういうものとして、僕達は受け入れます。ただ、先生はちょっと勘違いしているところがあって、僕たち若い人には、楽しくて楽な授業の方がいいと思ってるでしょ?そんなことは全然ないんです。僕たちは意外とハングリーです。吸収できるものは、どんどん吸収したいし、先生から色々なことを学びたいと思っています。だから、先生に対しても、それなりの覚悟というものを求めてしまうんです。」

 

 

………。そうか。そうだったか。いや、参ったな。お見通しだな、これは。いや、参った参った。…わかった。私も少し気持ちを改めよう。せっかく左官の話を始めたんだ。ちょっと当分の間、この内容で授業を進めていくこととするか。一つのことを突き詰めていくというのは、確かに大切なことだな。言い訳というわけではないが、私もまだ新米教師だ。君たちから多くのことを学ぼうと思っている。今日は、早速一つ学んでしまったな。

 

前川君「先生、そんな気張らなくていいですよ。」

 

 

う、うーむ…。どうも、君たちは、なかなか結構、大人な対応をしおる。うーむ、分かった。私も少し、心を入れ替えよう。もう少し、真剣(マジ)な授業を目指すことにしよう。今日いきなりというわけにはいかん。少し時間をくれ。今回の授業は、ここら辺で終わりにさせてもらおう。次回も「左官」についてだ。今までよりもグレードアップした授業を、楽しみに待っていてくれ。

 

一同「はーい。」

 

 

 

(うーむ、若者というものは、案外侮れんな。私も少し、マジにならないといけない。………少し、授業が楽しくなってきたかな。フフフ…。)

 

 

グロピウス君「先生、チャックが開いています。」

 

 

な、何???あ、ほんとだ!…フ、フフフフ。

 

(終わり)