ラブルースト先生の建築教室

将来の仕事に迷っている中学生や高校生に、「建築」という仕事はどう?と勧めるためのブログです。

前川君「先生、どれだけ待たせるんですか?」

いやいや、失敬。大分間を空けてしまったね。私は、少しばかりの間、海外研修に行っていたのだ。

 

グロピウス君「先生、嘘付いてませんか?」

 

何?そんなことは無い。私は、海外研修に行っていたのだ。

 

ブオナロッティ君「どこの国に行ってたんですか?」

 

キプロスという国に行っていた。そこで色んな建物を見てきたよ。

 

一同「はぁ???」

 

 

まあ、そんなことはいいのだ。早速授業を始めよう。さて今回は、「学問としての建築」について、話そうか。

 

佐野君「はぁ?セ、先生、『左官』について話すんやなかったですか?」

 

む?そんなことも言ったかな?まあ、そうだったかもしれないが、やはり建築を学ぶ者として、その前に話すことがあると思ってしまってな。はっはっはっ。

 

一同「…。」

 

いや、少し我慢をしてくれ。これが私のやり方なのだ。今後もちょくちょく路線変更というものがあるかもしれないが、そこは少し辛抱をしてくれたまえ。

 

前川君「はぁ…。」

 

 

 

さて、君たちは建築を学ぼうとしているわけだが、君たちは「建築」という学問について、どんなイメージを持っているかね?アアルト君。

 

アアルト君「…。設計のやり方とか、施工のやり方とか、…あとは、建築基準法とかを学ぶ感じですか?」

 

まあ、そういうことだ。君たちはまず、「建築」というものの、「全体像」を掴んでもらわないといけない。細部について学んでいくのは、それからでよい。まずは、「建築」というものに対する、自分なりの「イメージ」というものを持つことが必要である。

 

伊東君「それは、僕も思います。」

 

漠然としたものでよい。伊東君、君は今、「建築」に対して、どんなイメージを持っているかね?

 

伊東君「3K。」

 

うーむ。伊東君、それは、一般的なイメージというものだろう?もっと、自分らしい言葉で表現してくれないかね?

 

伊東君「……、う、うーん。カッコいい、とか、職人、とか、…いかつい、とか…。」

 

そうだ。自分なりでよいのだ。そういうイメージを、最初は少しずつ膨らませていけばよいのである。では、コールハース君、君は、どんなイメージを持っている?

 

コールハース君「限定された空間の中に、無限の拡がりを持たせる、ですかね。」

 

ん?ん?ん?君は、なんだか卓越したものを持っているな。続けたまえ。

 

コールハース君「無限は有限になり、有限は時間を飛び越え、時間は建築に戻る、だと思います。」

 

ん?ん???ちょ、ちょっと待ちたまえ。君は少し意味不明なところがあるな。…君もちょっと、やはり、ちゃんと建築を学ばないといけないようだな。ま、まあ、個性が強いというのは良いことだ。その個性を生かしつつ、ちゃんと建築を勉強していくように。

 

コールハース君「…はい。」

 

さて、学級委員長のブオナロッティ君。君にはこのクラスのまとめ役をやってもらうわけだが、今日の授業のまとめとして、君のなりたい、「建築人」としての在り方を語ってもらおうか。

 

ブオナロッティ君「え??は、はい。僕は、人々が生活する場としての建物を、合理的に計算された美しさを感じさせるものとして、作っていきたいです。」

 

うむうむ。なかなか良いイメージを持っているな。やはり君には、このクラスを引っ張っていってもらおう。さあ、今回はこれまでだ。

 

佐野君「えー、もう終わりでっか?」

 

まあ、先は長いのだ。(私も、小出しにしていかないと疲れる。)じっくりみんなで学んでいこうじゃないか。次回以降も、「建築」に対するイメージを、膨らませていくというスタンスでやっていこう。それでは、また次回!

 

 

 

前川君「先生、さっきの『間』は、なんですか?」

ごほっ、ごほっ。

ゴリラじゃないよ。先生は風邪をひいてしまったのだ。もうだいぶ収まってはきておるがね。

 

さて、久しぶりの授業を開始しようじゃないか。どうも、あれだ。前回の授業で、君たちにさんざんダメ出しを喰らったおかげで、少し考え込んでしまったのだよ。専門的な事を話すと、どうにもこうにも君たちにとって、解りにくい内容になってしまう。だからと言って、フランクでカジュアルな授業にしてしまっても、少し物足りないだろう。

 

そこでだ。君たち自身に先生になってもらって、私は君たちの授業を聴く、という、逆転の発想による授業をしてみたらどうか、と思ったんだが、どうだろう?

 

佐野君「先生、そりゃいくらなんでも、職務怠慢というやつでっしゃろ。 わてら、先生に金払ってんのに、先生が授業をしないって、どうにもこうにも、アホちゃうか、っちゅう話やあらへんか。」

 

ぐっ。先生に向かって、アホとは。アホ……、ま、まあ…、確かに、一理あるかもだな。先生が、授業しないで、アホちゃいまっか、って話かもだな。う、うーむ。また振出しに戻ってしまったな。

 

カーン君「I don't mind anything.Please begin an ordinary lesson.」

 

むむっ、カーン君。君、母国語を喋りおったな。an ordinary lessonとな。普通が一番ということか。君、若いのに、なかなか悟っておるな。

 

うーむ、そうだな。普通の授業を、するとするか。…ではだな、私が、職人仕事の中でも、一際心を奪われる、「左官」について、少し話すとしようか。

 

「左官」とは、泥のようなものを、金鏝(かなごて)でならして、壁などを塗る職人のことだな。私がこの仕事に特に魅力を感じるのは、まあ言ってみれば、職人の技術が、ダイレクトに仕上げの質に影響してくるからだということだろうな。金鏝を通じて、自分の手の感覚を頼りに仕事を仕上げる。いかにも、職人らしい、職人技だと思わないかね?

 

一同「…。」

 

むっ?無反応?

 

ブオナロッティ君「先生、僕達はお見通しなんですよ。先生が、先生らしからぬ、知識の少なさだということを。先生が、左官に魅力を感じるなら、その話をしてもいいです。でもですね、先生は、そういうイメージだけで、具体的には全然「左官」のことを解ってないですよね?そういうのが見えてしまう授業っていうのは、案外苦痛なもんですよ。」

 

「な、何?私が何も解ってないとな?」

 

ブオナロッティ君「いや、先生を責めているわけではないんですよ。そういう授業なら、そういうものとして、僕達は受け入れます。ただ、先生はちょっと勘違いしているところがあって、僕たち若い人には、楽しくて楽な授業の方がいいと思ってるでしょ?そんなことは全然ないんです。僕たちは意外とハングリーです。吸収できるものは、どんどん吸収したいし、先生から色々なことを学びたいと思っています。だから、先生に対しても、それなりの覚悟というものを求めてしまうんです。」

 

 

………。そうか。そうだったか。いや、参ったな。お見通しだな、これは。いや、参った参った。…わかった。私も少し気持ちを改めよう。せっかく左官の話を始めたんだ。ちょっと当分の間、この内容で授業を進めていくこととするか。一つのことを突き詰めていくというのは、確かに大切なことだな。言い訳というわけではないが、私もまだ新米教師だ。君たちから多くのことを学ぼうと思っている。今日は、早速一つ学んでしまったな。

 

前川君「先生、そんな気張らなくていいですよ。」

 

 

う、うーむ…。どうも、君たちは、なかなか結構、大人な対応をしおる。うーむ、分かった。私も少し、心を入れ替えよう。もう少し、真剣(マジ)な授業を目指すことにしよう。今日いきなりというわけにはいかん。少し時間をくれ。今回の授業は、ここら辺で終わりにさせてもらおう。次回も「左官」についてだ。今までよりもグレードアップした授業を、楽しみに待っていてくれ。

 

一同「はーい。」

 

 

 

(うーむ、若者というものは、案外侮れんな。私も少し、マジにならないといけない。………少し、授業が楽しくなってきたかな。フフフ…。)

 

 

グロピウス君「先生、チャックが開いています。」

 

 

な、何???あ、ほんとだ!…フ、フフフフ。

 

(終わり)

今回は、「聴覚と建築」についてです。

皆さんは、マンションに住んでいますか?それとも一軒家に住んでいますか?

 

隣の部屋、隣の家の物音に、辟易としている人はいませんか?

 

 

「建築」と「音」というのは、非常に難しい問題なんです。

 

「音」に対する、「建築」の対処法としては、「防音」があります。遮音・吸音・消音・防振といったものの総称を、「防音」と言います。

 

防音には特に、遮音と吸音の両方が必要であり、そのバランスも大切である。例えば、リスニングルームなどの部屋では、遮音性能だけを高めると、室内に音がビンビン鳴り響いてしまう。逆に、吸音性能だけを高めると、エコーの無い部屋となり、室外へ音が漏れていく。

 

ここに、防音材料というものがある。防音材には、遮音材・吸音材・制振材がある。

 

遮音材として安くて有効なのは石膏ボードである。構造用合板と組み合わせると効果的である。

 

吸音材として安くて有効なのは、繊維系断熱材である。グラスウール・ロックウールなどが有名である。吸音材は、以下の3つに大きく分けられる。

①多孔質

小さい穴がたくさん開いている繊維状のものやスポンジ状のもの。グラスウール、ウレタンなど。

②振動板系

フィルム・シート・板などを振動させてやることにより吸音させる材料。

③共鳴型系

共鳴現象を利用し、空気自体を激しく振動させ、摩擦熱で音のエネルギーを消費させる。パンチングボードや有孔ボードなど。

 

制振材は、固体音に対するエネルギー吸収の目的で使用される材料である。ゴム系・プラスチック系・アスファルト系などが代表的である。ガラス転移点、つまり、ガラスが液体から固体に移り変わるときのことであるが、その付近での粘弾性を利用したものであり、非拘束タイプと拘束タイプに分けられる。

①非拘束タイプ

粘弾性層の伸び縮みを利用して、加振エネルギーを吸収する。

②拘束タイプ

粘弾性層の両端が、基板と拘束層の二界面で固定されている。層間のずれ(せん断歪)を利用することで、加振エネルギーを吸収する。

 

 

…、とまあ、聞いてても解らないよね。

 

ブオナロッティ君「先生、言っている意味が、全く解りません!」

 

おっと、ブオナロッティ君。生徒を代表して、突っこみを入れてくれたね。さすが学級委員長。でもね、私もちょっとエンジンが掛かってきたんだ。このまま進んで行くぞ。

 

生徒一同「え~~~。」

 

 

音を発すると、室内の床・壁・天井などで反射を繰り返すため、音を停止してからも室内に音が残る。こうした現象を、残響と呼ぶ。残響時間の長短は、室内の音響状態を示す重要な指標になる。音楽ホールや劇場などの客席では、非常に留意しなければならない項目である。

 

残響時間は、室容積に比例し、室内の吸音力に反比例する。つまり、室容積が大きい程、音は良く響き、吸音材で室内の吸音力が上がるたびに、音は響かなくなる、ということだね。これは理解できるかな?

 

遮音性能は、透過損失という指標によって評価される。基本的には、材料の密度や厚さが大きくなるほど遮音性能は高まる。それだけ音を通しにくくなるわけだ。ただし、壁体が音と共鳴してしまう周波数が存在するため、そうした周波数では、透過損失が低下し、音を多く通してしまうのである。

 

前川君「先生、言ってることが解りません。」

 

き、君っ!これでも噛み砕いて話してるのだよ。

 

前川君「僕たちまだティーンですよ。もっとわかりやすく説明してくださいよ。」

 

……そうか、解りにくいか。いや、いやいや、生徒諸君、君たちは、先生がどんなに解りにくく説明をしようと、それに付いて来なければならない。この授業という時間を、1秒たりとも無駄にしてはいけないのだよ。わからなければ、エッセンスだけでも頭に入れて、家で復習するでも何でもしたらよい。人生サバイバルだ。どんなものでも、工夫して自分のものにして、駆け上がっていくぐらいの気概を持たなければいかん。

 

佐野君「先生、そんな~。わて、あほなんやで。もっとわかりやすく説明してや。」

 

…うーむ、解りやすくしているつもりはあるのだが…。…分かった、私も少しずつ、解りやすい授業を心掛ける。でもとりあえずは、だ。自分たちでどんな内容でも、身に着くものを得ようとする心構えを持ちたまえ。例え、私の授業が、漢文のように分かりにくくてもな。

 

一同「そんな~。」

 

はっはっはっ。頑張りたまえ。では最後に補足事項を付け加えよう。音響には、特別な現象が起こることがある。たとえば、フラッターエコー。並行して相対する反射面があると、音が同じ経路を往復反射して、同じ音が繰り返し聞こえる現象だ。また、デッドスポットと呼ばれるものもある。室内が凹曲面で構成されていると、特定の場所で音圧が極端に弱くなり、そこでは音が聞こえなくなる場所、ということだ。

 

これらはどちらも、室内音響としては、好ましくない現象だ。これを防止するためには、天井面や壁面に音を拡散させるような凹凸形状を作り出すことなどが考えられる。

 

劇場で音楽を聴いてて、同じ音が繰り返し聞こえたり、音が聞こえなくなったりしたら、困るだろ?そういうのは、防がなければいけないのである。

 

 

一同「せんせい、わかんなーい。」

 

 

 

……お前ら、わざとやってないか???

 

今回は、製図のお話です。

「建築」の仕事と聞いて、一番に思い付くのは、「設計」の仕事かもしれませんね。実際、数多くある「建築」の仕事の中でも、やはり「設計」は花形です。「建築」の仕事の頂点とも言える、「建築家」は、簡単に言えば、「設計」の仕事ですからね。

 

君たちの中でも、絵が上手い子なんかは、もしかしたら、将来設計をやりたい、なんて思っている者もいるかもしれないね。ただし、である。絵が上手いからと言って、設計図が描けるわけではない。「設計」をするには、「建築」の知識、というものが、多分に必要なのである。

 

とは言っても、今すぐにでも、設計図を描いてみたい、という諸君もいるかもしれない。それは決して悪いことではない。描きたいときに、描き始めるのが、ベストである。

 

ということで、いくら描きたいと思っても、道具が無けりゃ、何も描きゃーしない。まずは、道具を揃えよう。

 

 

1.製図板

 

まずは、製図板だ。

 

 

大学で設計製図の 演習を行うときは、A1サイズの用紙を用いることが多いが、建築士試験の実技では、A2サイズを用いる。T定規というものもあるが、この平行定規というものが便利である。特に、マグネット板を使用したものは、スチールプレートというものを使って、用紙を板に固定できるから、とても便利である。

 

 

2.製図用紙

 

鉛筆、インキング仕上げに用いられるケント紙や、スケッチや青焼きの図などの、図面のトレースに便利な、トレーシングペーパーなどが、ある。用途に合わせて使い分けると、良い。

 

 

エスケント ピュアケント製図用紙 180k 100枚 A2 00513002

エスケント ピュアケント製図用紙 180k 100枚 A2 00513002

 

 

 

 

 

3.筆記用具

 

現在は、鉛筆ではなく、ホルダー(ドロップペンシル)やシャープペンシルが主流である。

 

ステッドラー ペンシルホルダー  900 25  シルバー

ステッドラー ペンシルホルダー 900 25 シルバー

 

 

ホルダーは、直径2mmの芯を用い、芯研器などで芯を研いで使うと、シャープな線が引ける。

 

ステッドラー 鉛筆削り マルス 502

ステッドラー 鉛筆削り マルス 502

 

 

ちなみに、芯の高度は自分の筆圧に応じて、選択する。一般的には、2H、H、HB、Fを用いることが多い。

 

その他に、勿論消しゴムも必要である。プラスチック系のものから、練りゴムまである。練りゴムは、消しかすが出ないので、図面を汚さず便利であろう。消しかすが出る場合、製図用ブラシや、電気クリーナーで取り除くと、図面を汚さないぞ。

 

 

ウチダ 製図用ブラシ 小 1-825-0401

ウチダ 製図用ブラシ 小 1-825-0401

 

 

 

 

4.定規等各種製図用具

 

まずは、スケール。三角スケールがいいだろう。6通りの縮尺が付いているので、縮小した尺の直線の寸法を測るのに、重宝するだろう。

 

 

シンワ測定 三角スケール 建築士用 B-15 15cm 74961

シンワ測定 三角スケール 建築士用 B-15 15cm 74961

 

 

次に、三角定規。〈90度、45度、45度〉と、〈90度、60度、30度)の2つあると、便利であろう。

 

 

ドラパス 三角定規 糸面取 ハードコーティング 2mm厚 24cm 13623
 

 

 そして、勾配定規。すべての角度の直線が弾けるので、重宝するだろう。

 

ステッドラー 勾配三角定規 マルス 964 51-8 20cm

ステッドラー 勾配三角定規 マルス 964 51-8 20cm

 

 

回転軸や固定ねじがしっかりしているものを選ぶと、良いだろう。

 

 

更に、円や円弧を描くときには、コンパス。

 

 

その他、小さい円や楕円、三角形、四角形など、各種の図形を描くために、テンプレート、というものがある。これも様々なものが売られているが、自分の必要に応じて、揃えていくといいだろう。

 

 

シンワ テンプレート 一般総合定規 66022

シンワ テンプレート 一般総合定規 66022

 

 

これらの他にも、雲形定規や、自在曲線定規なども用いられる。

 

 

まあ、製図用具は、挙げれば切りがないが、大まかなところは、こんなところだろう。どれでも当て嵌まることだが、自分のお気に入りの一品を見つけて、それを長く使用していくことが、自分にとっても、道具にとっても、良いことだと思うぞ。

 

 

 

…とまあ、駆け足で説明してしまったが、付いて来れたかな?製図を実際にしようと思ったら、必ずこれらの道具の必要性を感じるだろう。その都度、これらの道具を揃えていけば、良いと思う。まあ、最初から全部集めるのは、大変だからね。

 

 

 

ということで、製図用具の説明は、一通り終わったが、これからは、これらを使って、実際に製図を行ってもらうこともあるだろう。製図をするときは、作業周りをきれいに整えてから、行ってくださいね。環境を整えて、気持ちを整える。さすれば自ずと、図面も整う、ってなもんさ。

 

 

はい!終わり!

皆さん、宿題はやってきましたか?

先生、楽しみにしてますよ。う~ん、それでは誰から行こうかな。……では、前川君から行こうか。前川君、発表お願いします。

 

 

「私は、ヒッコリーについて調べてきました。ヒッコリーは、強度が強く、曲げに強いため、釣り竿やスキー板などにも使われます。温帯産広葉樹材で、アメリカ合衆国北東部でよく採れます。色むらと粗い肌目のため、美観を優先する作品にはあまり使われません。価格も程々で、割と簡単に入手できる木材であります。」

 

 

ふむ。前川君は、ヒッコリーを調べてきたか。ヒッコリーはね、よくドラムスティックにも使われる木材なのだよ。私は最近、ドラムを始めたものでね。前川君、君は実に私のツボを突いてくる研究をしてきたね。君には「優」を与えよう。

 

次、学級委員長の、ブオナロッティ君。発表を頼もう。

 

「わたしは、『木取り』について、しらべてきました。原木の丸太から、しょようのかたちの材料をとりだし、製材するさぎょうを『木取り』といいます。木取りは、歩留まりがたかくなるようにおこなうことがたいせつです。歩留まりがたかいとは、1ぽんの木からむだなく材料をとりだすことです。つまり、すてるぶぶんをなるべくすくなくする、ということですが、『品質』のめんでも、歩留まりをよくすることがじゅうようです。つまり、1ぽんの原木のせいのうを、さいだいげんにひきだすように『木取り』をすることが、たいせつなのであります。」

 

 

……、ブオナロッティ君、目の付け所が、シャープだね。そうなのだ。「木取り」は、一本の原木から、いかに品質の良い材料を、より多く引き出せるか、ということが重要なのだ。君たちも知ってると思うが、熱帯地域の森林では、過去に大量の伐採が行われたため、砂漠化が進んでいる。ブオナロッティ君の言ったように、採算性の観点もあるが、地球環境保護の観点から見ても、製材における無駄を無くす、ということは、大切なことなのかもしれないね。うむ、さすが学級委員長。君にも、「優」を与えよう。

 

…では、最後に、グロピウス君。発表を願おう。………何?宿題を忘れた??君ともあろうものが。忘れた理由を言ってみたまえ。…何?昨日サッカーの試合を観に行っていたとな。何?浦和レッズサンフレッチェ広島とな?うーむ、困ったものだ。1週間あったのだよ。宿題は余裕を持ってやらないとだめなのだ。大体私も、昨日寝る30分前にようやく「木」の勉強をし始めたために、ちょっと寝不足気味なのだ。君たちみたいに若い時なら、夜更かしを一日ぐらいしたところで、何ともないのだろうが、私ぐらいの歳になると、一日夜更かしすると、次の日がまあ、辛い辛い。腰は痛いわ、目は霞むわで、もうほんと、歳を取るっていうのは嫌なものだ。頭の回転だって悪くなってるし、頭のてっぺんだって薄くなってるし…。

 

 

………って、グロピウス君、君、私に何を言わせるんだね。元はと言えば、君が浦和レッズサンフレッチェ広島戦なぞを観に行くことが悪いのだ。そういうものは、ちゃんとやるべきものをやってから、観に行きたまえ。君は「がんばりま賞」だ。宿題はちゃんとやってくるように!

 

 

うーむ、今日はこの辺か。この授業はまだ始まったばかり。君たちにはしっかり勉強してもらわなければならん。私も色々な仕掛けを用意して、君たちを引っ張り上げることを目論んでおる。はっはっはっ、楽しみに待っていておれ。

 

それではBye Bye!

 

 

 

 

 

 

 

 

前川君とブオナロッティ君「あの先生ってさぁ、なんか掴めないよね…。」

そろそろ、

実用的な話もしていきましょうかね。精神論にばっか偏っても、つまんないでしょうし。

 

つまりですねぇ、建築という仕事に就こうと思って、勉強を始めると、いったいどこから手を着けてよいのやら、と、まず尻込んでしまうものです。扱ってる範囲がやたら広いのです。

 

 

…さて、どこから話そうか。どこからでもいいと思うんだな、入り口は、人それぞれで。自分の興味ある所から、入ってくれればいいと思うが、私が最初に話し始めるのは…、「材料」にしようか。

 

私の趣味の一つに、「音楽」というものがあってね。楽器もそこそこ嗜むんだよ。楽器というものは、大体想像が付くと思うが、いい材料を使えば、それなりにいい音が出るようになる、と言える。私は、「音楽」が好き、という割に、意外と「音」音痴でね。そういう、材質による「音」の差、というものに、あまり敏感でなかったのさ。

 

ただ、興味は、あった。例えば、ギターやベース。ボディに使われているのは、木だ。木の良し悪しで、音の良し悪しが、変わる。

 

「建築」も、同じことだ。材料の良し悪しで、建物の良し悪しが、変わってくる。木、金属、石、土、ガラス、コンクリート…。「建築」には、ありとあらゆる材料が、使われている。この、それぞれの材料の性質を知ることは、建築を行う上で、極めて重要だ。それこそ、防音・遮音もそうだし、断熱、強度、重量、環境に与える影響など、それぞれの材料には、様々な性質が備わっている。「建築物」という全体の中で、その材料をいかに使っていくか。極めて繊細な問題なのである。

 

 

今回は、この辺で…、っって、何?授業が短い??いや、これで精いっぱ…、、いやいや、まだ授業の序盤だから、この位でいいと思うのだよ。実際、語れるほどの知識を持ってな……、、、いやいやいや、長いからいいというわけではない。私の役目は、君たちに、勉強するきっかけを与えることだ。知識なんてものは、自分で身に付けるものだよ。……教師として、あるまじき発言をしてしまったか???ま、まあ、その、そうだ。今回は、宿題を用意しておいた。先程、少し話題に上がった、「木」について、「材料」という観点で、自由に研究をしてきて下さい。研究に割く時間は、各自自分で決めればよい。自分が、いい、と思ったところまで、研究してきなさい。

 

それでは、また次回!

 

 

 

ふぃ~~~。

さて、今回は、

建築の「業」についてお話ししましょうかね。

 

「ぎょう」ではないですよ。「ごう」です。

 

意味は自分たちで調べてくださいね。

 

 

つまりねえ、建築という仕事は、この世にある「仕事」の中で、最もやりがいのある仕事だと思うわけである。

 

ただ、その反面、というか、実際、最も「きつい」仕事である、という認識が、強くある。

 

難しいところなんである。

 

 

「建築」というのは、「ものづくり」の仕事の中でも、最上位に来る仕事である。ウォークマンよりも、車よりも、とてつもなくデカいものを作り出しているんである。そこに「やりがい」があり、反面「きつさ」もあるわけなのだが、「きつさ」の部分は、「気持ち」の部分で、いくらでも改善できる、というのが私の持論である。

 

実際「きつい」、が、外から見てる時ほど、「きつくはない」。ただし、精神的強靭さは、必要かもしれない。

 

「建築」は、本来、「カタギ」の仕事である。人が住まう家を作りたい、雨風をしのげる建物を作りたい、という人間の欲求に対して、大勢の人の知力と体力を結集して、地道に建物を作り上げていく。素晴らしい仕事である。

 

ただ、第1回目の授業で少しだけ言いましたが、それだけ大きいものを作り出すということから、とても大きな「カネ」が動く、という事実を無視してはならない。その関わる大勢の人が、この仕事を頼りに生活していかなければならないのだからね。

 

中には、この大きく動く「カネ」を、「独り占め」しようと画策してくるものが現れる。そしてその欲求は、とても多くの建築人に、纏わりついてくるものなのである。

 

私は思う。「建築」という仕事は、素晴らしい仕事である。その素晴らしい仕事に就いている以上、それ以上のものを望むのは、少し強欲過ぎやしないか、と。

 

無論、「カネ」は生きていく上での、最重要項目である。ただし、銀行じゃないんだから、この素晴らしい仕事に、「カネ」という要素を持ち込むことは、少し野暮ったい感じがするのである。

 

勿論、建築だって産業の一つであるわけだから、仕事を進めていく上で「カネ」が絡んでくるのは、当然と言えば当然のことなのだが、なんと言うか、建物を作り上げる浪漫の過程に、そういうものを絡ませて物事を話したり考えたりするのは、いかにもつまらないことではないか、と思うわけである。

 

以前の授業でも言いましたね。建物を作り上げることは、浪漫の世界なのである。壮大なヴィジョンを持つも良し、細部に徹底的にこだわるもよし。自分の出来る範囲のことを、精一杯やる。精一杯やった先に、「カネ」が後から付いてくる。そういうのが、この仕事の本質なんではないかと、思うのである。

 

 

冒頭に、「業」について話す、と言っておきながら、結局「浪漫」について話してしまいました。うむ、なんと言いますか、仕事の「業」については、実際にこの職に就いてから、自分の肌で感じ取って欲しいところであります。それが完全に悪いものだとは、私は言い切りません。この「業」あっての、建築という仕事です。それは、どの仕事についても、必ずあるものだとも思いますがね。

 

さあ、今回はこの辺にしておきましょう。蛇足ですが、私は、「です・ます」調と、「である」調が、混在した話し方をします。気付いた方もいるかもしれませんね。最近気づいたのですが、私は、熱が入ってくると、「である」調になってくるようです。………?そうとも限らないかな?まあ、あんまり気にせず、内容の方だけ聞いてくれればいいですよ。気になるなら、「先生、気になります!」と言って下さいね。はい、蛇足でした。

 

それでは、また次回。